資源循環への取組み

ポリスチレン製品のケミカルリサイクル

油化・製鉄原料として使用

回収したポリスチレン製品を加熱して熱分解することでスチレンモノマーを含む分解油成分が得られ、これを燃料として再利用が可能です。

また、製鉄所では回収したポリスチレン製品を製鉄用原料として直接高炉に投入して鉄鉱石の還元剤として使用したり、コークス製造炉に石炭と共に投入し、その際に発生する水素や一酸化炭素を使用します。

ポリスチレンのケミカルリサイクル

上記の分解油成分からスチレンモノマーのみを精製、抽出することが可能です。

ポリスチレン製品を主体に高温の条件で熱分解し、さらに蒸留精製をするとスチレンモノマーが得られます。

400℃、無触媒下での熱分解では、スチレンモノマーへの変換率は60%です。

ポリスチレンのケミカルリサイクル

精製後の残留成分は重質油と呼ばれるスチレンの二量体、三量体、および少量のトルエンやエチルベンゼン等の分解生成物を含む軽質油の混合成分です。

これらも燃料として使用可能です。

使用済みポリスチレンからはスチレンモノマーを得ることが可能であり材料リサイクルのような物性劣化もなく、さらに衛生性に優れたリサイクルシステムが期待されます。

出典:東京化学同人 高分子学会編 基礎高分子学会化学 第二版 高分子の分解とリサイクル(2020年1月24日発行)

ポリスチレン(PS)製品のケミカルリサイクルの循環モデル例

ポリスチレン(PS)製品のケミカルリサイクルの循環モデル例

ポリスチレンのケミカルリサイクル方式の特長と長所

  1. ポリスチレンを熱分解した際に、その分子構造から他の樹脂と異なり高い効率でモノマーに戻すことが出来ます。
  2. 従来のケミカルリサイクルでは原料の選択幅は広いですが、産生物は主に水素(H2)、炭酸ガス(CO2)、アンモニア(NH3)および炭素等の単純原料でありプラスチック樹脂原料であるモノマーは得ることはできません。
  3. マテリアルリサイクルと異なり樹脂の劣化がなく、新品に戻せる。何回でも再生可能です。
  4. 高温下の熱分解と蒸留精製により原料モノマーに戻るので臭気等は残らず衛生性に優れます。
    PS樹脂の主力用途である食品容器・包装として使用が可能です。
  5. 国内でPSメーカーが実証検討の取組みを開始しています。